仏石

仏石大栗林から谷和を通り、玖波方面に抜ける、昔ながらの生活道が今も残っています。
その道から大栗林から登っていくと、やがて向かいの嶺近い空中に白い仏石が見えてきます。

仏石は、巨大な花崗岩の自然石で、あたかも蓮台のように組み重なった大きな岩の中程に、すっくと立たれた気高い袈裟姿の仏様のように見えます。
今にも歩いて近寄って来られそうな気配の石仏に、里の人たちは手を合わせながら行きかったと思われます。
文政2年(1819年)に記された国郡志の資料にも「丈六余の石頭堆悉皆御仏之立給ふか如く・・・」と紹介されており、昔から仏石として呼ばれてきました。
「丈六」とは、一丈六尺(4.8メートル)のことで、お釈迦様の身の丈が一丈六尺であったということから、仏像もこの大きさに造られたものがかなりあるようですが、この仏石の実際の高さは9メートルもあり、さらに台座の部分が5メートルあります。

 仏石は、絶壁のような谷あいの上に立っていて、正面から近づくことは困難です。仏石のところに行くには、谷和側の善坊師峠から荒れた山道を登っていかなければなりません。