土地の境界を巡るトラブルは、現代でも厄介な問題ですが、昔も大変深刻な問題でした。特に昔は土地はもっとも重要な経済的基盤であったため、土地問題は現代以上に深刻であったといえます。
かつては大竹市域でもさまざまな境界争いがありました。
その中には、耕地の境界を巡る争いもありましたが、多くは村同士で山林の所有・権利(入会権)を争う「山論」でした。
山林は肥料や薪を確保する重要な場所であったため、村などの集落で共同管理していました。
しかし、近世を通じて検地によって比較的境界が明確となっていった耕地と異なり、山林の境界は依然としてあいまいのままでした。
また、地租改正によって、山林は民有地とされましたが、その処分は村にまかされることになりました。そのため、山林を所有する村は独占的な利用を主張する一方で、これまで入会慣行のあった村も山林を利用する権利を主張したため、村同士の激しい争いが生じることになりました。